着想から1ヶ月。Ritual Roomをつくりながら見えてきたもの
よし、カードを引けるサイトをつくろう、と思い立ってから1ヶ月が経ちました。
こんなものをつくろうと思って、と友人にLINEしていたのがちょうど4月30日なので、正確には33日ですね。
この間に、ロゴをつくり、サイトをつくり、カードを描き、記録機能をつくり、寝室をつくり直し、仮公開して人にも使ってもらいました。
そして、実際につくってみたからこそ見えてきたこと、はじめの構想から変わったことが、色々あります。
一度、ここまでに進んだことをまとめてみたいと思います。
はじめに考えていたこと
スタートは、占いや祈り、清めのようなものを、昔から人が不安や願いに向き合うために行ってきた知恵なんだと捉えて、今の生活の中で受け取れる場所があったらいいな、というところからでした。
最初に決めたのは、サービス名の「Ritual Room」と、小部屋をめぐるというサイトの構成です。
儀式的なものを、怪しくなく、現代的で、日常に取り入れやすい軽さのあるものにするために、「リチュアル」と呼ぼう。カードを引く場所や、眠るための場所置くサイトにしたいけれど、ただページを見るというよりも儀式感が欲しいから、小部屋をめぐるという言い方をしよう。だから、「Ritual Room」というサービス名にしよう。
これらは、もはやどの順番で思いついたのか忘れましたが、最初の段階から頭の中にありました。
つくったもの① ロゴとデザインルール
そんななんとなくのイメージが、まずひとつ目の形となったのがロゴでした。
ロゴというのは、サービスの目指す方向やコンセプトを象徴して、視覚的にパッとわかりやすくするものです。私は本業でデザイナーをしていて、これまでも色々なサービスや企画のロゴをつくってきたので、ここは得意分野といえます。
Ritual Roomのロゴには、祈る手のかたち、月、部屋の間取り、宝石といったイメージをぎゅっと詰め込みました。
神聖さを感じさせる金色。
優しさのあるピンク。
不思議さのある紫。
冷静さと夜の気配を持つ紺色。
それらを、シンプルでミニマルで、現代的な印象になるようにまとめました。
「儀式を扱うけれど、怪しくなく、知性的で現代的。」
言葉で説明するとわかりづらいコンセプトを、ロゴは目に見えるものにしてくれます。
同時に、背景の生成り色、金を中心にしたページの配色、フォントと文字組のルール、紙のような質感を持つイラスト、統一感のあるアイコンなども整えていきました。
今のRitual Roomの視覚的な雰囲気や、部屋をめぐったときの統一感は、この時点でかなり決まっていったと思います。
つくったもの② 歴史の小部屋
占い的なことを扱うということで、はじめにつくったのは「歴史の小部屋」でした。
ここで、タロットカードのような有名なカードではなく、オリジナルのカードをつくることにしたのは、ひとつの選択でした。
「タロットカードが引けます」と言うと、とても分かりやすい。けれど同時に、「ああ、占いサイトね」と既存の枠にはまって見えやすい気もしました。
まだ自分の中でもコンセプトがもやもやしていた段階だったので、はじめから既存の型に寄せるのはあえて避け、やりたいことの本質を見つけにいくことを優先しました。
歴史上の女性をカードのテーマに選んだのは、「知性的である」というサイトの方向性を、一番表現しやすいと思ったからです。
ただ、歴史のお勉強をさせたいわけではありません。
なので、教科書の中心に出てくるような有名人物ではなく、少しマイナーでも、生き方に物語があって、今の自分に重ねて受け取れるような人を選びました。
衣通姫、持統天皇、菅原孝標女、光明皇后、磐之姫、二位尼、静御前、巴御前、斉明天皇、絵島。
歴史好きの知人にふさわしい人物やエピソードをピックアップしてもらい、そこから、何をテーマにするか、どう絵にするかを考えました。
たとえば絵島だったら、歌舞伎にハマって大変なことになったというエピソードのある人物なので、「憧れ」や「偶像」というテーマのカードにしよう。左下には歌舞伎でおなじみの赤・緑・黒の定式幕がたなびき、右上には舞台上からの光を受けて、舞台の上を食い入るように見つめている絵島が浮かび上がる構図にしよう。
などと一枚ずつ決めて描いていきました。
スピーディに形にするため、AIの力も借りています。けれど、AIが生成した絵をそのまま使うと、没個性的だったり、カードごとに違う絵柄になったりするので、加筆して仕上げていきました。
つくったもの③ 清めの小部屋
次につくったのが、「清めの小部屋」です。
これは正直、一番不思議な部屋です。
カードを引くような分かりやすい機能があるわけではなく、ボタンを押すと塩が降ってきて、清めのリチュアルを受けとれるという、かなり概念的なページです。
日々の中で少し落ち着きがほしいときや、気持ちを切り替えたいときに使える場所、というイメージはありました。
でも、つくっている途中では、これ必要か……? と半信半疑でもありました。
それでも、なんとなく面白かったのでつくりました。そもそも儀式だって占いだって、概念的でよくわからないものを扱っているのだから、機能では説明しきれない曖昧なものが真ん中にあるというのもRitual Roomらしいかなと思っています。
つくったもの④ 自室
歴史の小部屋と清めの小部屋ができたあたりで、一度仮公開して、知人に見せて使ってみてもらいました。
そこで出てきたのが、「引いたカードを保存して、記録したい」という意見でした。
マイページのようなものがあって、日記アプリのように使えて、引いたカードを後から見返せたらうれしい、と。
確かにな〜と思い、翌日に実装しました。このスピード感で実装できるのは、本当にAIのおかげです。時代の進化、すごい。
せっかくなので、歴史のカードだけではなく、清めの小部屋で受けとったリチュアルも、自室に保存できるようにしました。
ここで、ひとつ発見がありました。
引いたカードや、受けとった清めに、今の自分の気持ちを添えて保存し、後から見返す。この行為をやっているうちに、これは昨今でいう「ジャーナリング」に近いな、と思ったんです。
ジャーナリングとは、今の自分の気持ちを書き出すことで、自分の心を整理したり、日々の感情の動きを把握したりするものです。最近では、気持ちを入力して分析できるジャーナリングアプリも増えています。
そこで、占いや儀式のようなものと、現代のメンタルケアやジャーナリングのようなものは、別ジャンルのように見えるけれど、「心を扱う」という意味では、実はとても近いのではないかと思いました。
そして、ジャーナリングと近いけれども違う部分も見えてきました。それはRitual Roomでは自分の感情を見つめるより先に、カードやリチュアルなど、何かを受け取る行為が先にくることです。
感情という曖昧なものは、今あなたの感情を言葉にしてと言われてもよく分からないことも多いけれど、絵や言葉を受け取る行為が先にあると、全然意識していなかったんだけどこの言葉に今ハッとしたってことは、私はこう思ってたのか。みたいに、感情を照らす力があると思います。Ritual Roomでは、それをジャーナリングに活かせたらいいんじゃないのかな、と思いました
つくったもの⑤ 寝室
眠る前に気持ちを落ち着けるための瞑想音源を置く場所は、最初からほしいと思っていました。
そこで最初は、YouTubeに上げた瞑想用の映像を埋め込み、「寝室」として置いていました。
けれど、カードや清めが自室に保存できるようになり、後から自分の気持ちを見返すというジャーナリング機能が意外と良いなと思ったことで、寝室についても考え直すようになりました。
眠るために聴いた音も、同じように「リチュアル」として受けとって保存できた方がいいのではないか。それならYouTubeのような外部サービスの映像を眺めるのではなく、Ritual Roomの中で完結した方がいいのではないか。
そう思い、寝室を大きくつくり直しました。
新しい寝室では、再生ボタンを押すと、「今夜の音を受けとる」というかたちで、メロディひとつと環境音ひとつがランダムに選ばれ、重なって流れてきます。音が気に入らなければあとから他の音を選び直すこともできます。
音源を重ねてミックスできるという機能自体は、既存の睡眠アプリにもあります。
ただ、一般的な睡眠アプリは、多種多様な音の中から、自分の好みのものを自分で選んで最適化していくのが基本です。
一方で、Ritual Roomでは、まず「今夜の音を受けとる」。
流れる音が、偶然決まる。
この発想は、カードを引く体験と同じです。
自分で完璧に選ぶのではなく、偶然出会ったものに一度身を預けてみる。
そこから、自分がどう感じるかを見てみる。
カードから始まったRitual Roomの考え方が、寝室にも広げられた瞬間でした。
つくってみて見えたこと
ここまでつくって、ようやく見えてきたことがあります。
歴史のカードも、清めの小部屋も、寝室も、
「絵や音や言葉と、偶然出会い、それによって生まれた自分の気持ちを記録する」という体験で共通しています。
偶然何かと出会って、それによって自分の気持ちが動くというのは、昔から、絵や小説や音楽のような芸術の分野がずっとやってきたことでもあります。街中で流れてきた知らない曲の歌詞が気に入ったとか、友達におすすめされた本を読んでみたらやたら刺さってしまって人生が変わったとか。
カード占いも、昔の誰かが思いを込めて描いた絵があり、言葉があり、それを偶然引いて出会うという意味では、とてもアート的な体験なのかもしれません。
今は、AIやレコメンドによって、多くのものが自分向けに最適化されて届く時代です。
みんなが気に入りやすい最大公約数的なもの。
あなたの好みに合わせてつくられたもの。
そういう便利さが増えていく中で、誰かがこだわりを持ってつくったものに、偶然出会い、それによって自分の中に何かが生まれるという体験は、むしろ大事になっていくのではないかと思いました。
改めて、Ritual Roomのコンセプト
ここまできて、ようやくRitual Roomのコンセプトが明確になってきました。
誰かがつくった美しいものに、
偶然出会う。
そこから自分の中に生まれたものを
読みとくことで、
自分を整えていくセルフケアアプリ。
誰かがつくった美しいものに偶然出会い、そこから自分の中に何かが生まれる。
これは、まさにアートが持っている力だと思います。
Webの中でその偶然の出会いをつくるために、カードを引くことや、音を受けとることのような、占い的な仕組みを使う。
そして、そこから生まれた自分の気持ちや言葉を記録し、積み重なった記憶を後から読みといていくのが、ジャーナリングの機能です。
アート、占い、ジャーナリング。
これらをひとつの体験として統合したセルフケアが、Ritual Roomの目指したい方向なのだと、ようやく言葉にできました。
これからつくりたいもの
目指す方向が見えてきたことで、今後追加したい機能も、少しずつ明確になってきました。
ひとつは、ジャーナリングとしての読みとき、分析機能です。
先週はどんな感情が多かったのか。一ヶ月の中で気分はどんなふうに動いていたのか。何度も受けとっているカードやリチュアルはあるのか。
積み重なった記録から、自分の心の動きを見つめるための小さなレターのようなものを届けられたらと思っています。
もうひとつは、サイトの中に置くカードの絵や音や言葉を、さまざまなアーティストと一緒につくっていくことです。
「誰かがつくった美しいもの」と言いながら、現状はほぼ全部、私がつくったものしかありません。偶然の出会いが大事といいながら毎回私に出会わされていたのではつまらないので、
いつか、いろんなイラストレーターが描いたカードを引けたり、ミュージシャンがつくった音を寝室で受けとれたりしたら、この場所はもっと豊かになると思います。
作ってみないと、分からなかった
思いついてから33日。
この間にロゴをつくり、カードを描き、サイトをつくり、機能を足して、仮公開して、人に使ってもらいました。
最初から完璧なコンセプトがあって、それに向かって迷わずつくったわけではありません。つくって、触って、使ってもらって、少し違う気がしてつくり直して、その繰り返しの中で、ようやく言葉が出てきました。
Ritual Roomは、まだβ版で、ようやく形らしくなってきたところです。これからどんなふうに育っていくのか、私にもまだ全部は分かりません。自分がつくっているものが何なのかは、つくってみないと分からないこともあるので、この調子でしばらくつくり続けてみたいと思っています。
ときどきこうやって進捗報告もしていくので、引き続き応援よろしくお願いします🙌







素敵なプロダクトすぎます…✨
世界観がいいですね😳
見ててドキドキしちゃいました💓
はじめまして♪
こんにちは😃
フォローしました!
宜しくお願いします✨